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岡山県指定重要文化財として5件が指定されます

 2月16日(金)に開催された岡山県教育委員会において、岡山県文化財保護審議会の答申に基づき審議が行われた結果、岡山県指定重要文化財として、新たに5件が指定されました。県指定文化財の件数は、今回の5件を加え、合計数が508件となりました。
 今回新たに指定された5件を紹介します。

重要文化財(彫刻)

銅造誕生釈迦仏立像<(宗)安養寺 所有>

 安養寺の裏山にある経塚から出土した鋳銅製の仏像です。
 下半身に身につける衣服から足首のみを表したり、右腕を別鋳とし分節的に表現したりする点は、奈良時代後期以降の像の特徴を示しており、県内に伝わる最古の誕生仏として貴重なものです。

銅造如来立像<(宗)安養寺 所有>

 安養寺に祀られている本尊で、鋳銅製で金鍍金を施した如来立像です。
口もとに微笑を浮かべる表情や蛍光X線による材質検査等から、奈良時代前期の作例と考えられています。県下において、これほどの大きさと出来栄えの優れた金銅仏はなく、我が国を代表する他の金銅仏と比較しても遜色のない優品で、日本彫刻史上、貴重なものです。

木造狐像<(宗)木山神社 所有>

 木山神社本殿に安置されていた1対の狐像で、向かって右側の像は宝玉を咥え、左側の像は鍵を咥えています。両像ともに主材はキリ、副材はスギを用い、部位ごとに木材を寄せあわせて製作されています。
 像の見た目から室町時代に製作された狐像と考えられ、現存例として稀少であり、神道美術史の見地からも、全国的な稲荷信仰史の観点からも重要な彫像です。

重要文化財(書跡・典籍)

大般若波羅密多経<(宗)千手院 所有>

大般若波羅密多経(中身)
(井原市教育委員会提供)
大般若波羅密多経(全体)
(井原市教育委員会提供)

 千手院に伝わる200帖の大般若経です。奥書や裏表紙の反故紙等から、この大般若経は、康暦(1380)年頃から、矢掛町の極楽寺で書写が始まり、延享2(1745)年には現在の千手院に移り、巻物から折本に改装されたことなどが分かります。
 県内の現存例のうち、年代も含めた製作状況、改装時期と移動の履歴が判明し、かつ特定の巻数がまとまって伝わる重要な遺例であり、製作当時の地域の様子を窺わせる点で歴史資料としても貴重です。

重要文化財(建造物)

旧妹尾銀行林田支店<津山市 所有>

旧妹尾銀行(正面)
(津山市、EKG合同会社提供)
旧妹尾銀行(内部)
(津山市、EKG合同会社提供)

 大正9年に妹尾銀行林田支店として設立され、現在では、アートギャラリー「PORT ART&DESIGN TSUYAMA」として活用されています。
 本館は、仏殿を思わせる二重屋根の形式で、素材の選定から意匠の細部にまでこだわった極めて特異な建築であり、倉庫、金庫、門及び塀を含めた建築群は、高度で伝統的な木造の技法と煉瓦や鉄筋コンクリート等の新しい建築技術を、構造から細部の意匠にまで駆使した、大正期の質の高い銀行建築として貴重です。