【優良実践発表】主体的に取り組むことができる生徒の育成

備前市立吉永中学校

令和元年度の優良実践普及事業で優良実践校に選出された実践を紹介します。『教育時報』令和2年6月号に掲載されました。


1 はじめに

 本校は、県東部に位置し、生徒数87名の小規模校です。生徒は落ち着いていますが、主体性や粘り強さに欠けるところや学力やメディアコントロールに課題がありました。
 そこで生徒一人一人が自分の将来を描き、それに向けて主体的に学習や生活に取り組むことを目指し、次のような取組を行いました。

2 取組の概要

 取組を始めるに当たり、研究主任を柱に、OJTの側面から、各学年の若手教員で編成した研究委員会を立ち上げました。この委員会は、本校が推進しているキャリア教育を基に、生徒がPDCAサイクルを回すことで主体性の向上を図る取組を提案しました。この提案を基に、全校で取り組んだことを紹介します。

(1)「立志証」と行動目標
 4月当初に「10年後、なっていたい自分」をイメージし、実現のために具体的な目標を立てる「立志証」を作成します。その振り返りを定期的に行いますが、単に成否だけではなく、その理由を明確にすることで次に繋げるようにしています。そしてそのサイクルの中で、教育相談や3者懇談、生活ノート等で教員が対話的にかかわることで、「目標を書いただけ」で終わらせないようにしています。
 また行動目標「自分から『よしなが』」は、生徒会役員が中心となり、学校生活の改善を目的に全校生徒の意見をまとめ、教職員と協議の上、作成されたものです。これを教室や廊下への掲示、集会や行事での生徒会役員による活動の意味づけ、振り返りでの回帰、教員の説諭等で取り入れています。


行動目標

(2)社会との接続の意識づけ
 教科でのキャリア教育として、生徒たちに「社会との接続」を意識させるようにしています。「学習の目的」や「学習と社会との繋がり」を生徒が意識することにより、主体的に学習する意欲が高まると考え、教員が折に触れて生徒に語ったり、学校通信で保護者に知らせたりすることで、継続した意識づけを図っています。

(3)いじめ防止の取組
 生徒会執行部が公約の一つとして、取り組みました。左の写真は、いじめ防止に向けて生徒会が主催して行ったシンポジウムの様子です。また、香川県や東京都で開かれた子どもサミットやOKAYAMAスマホサミットにも参加し、得た情報を基に、本校生徒の課題を見つけ、改善方法について全校で考える機会を何度もつくりました。一人一人が考えることで人権意識の高揚につながりました。

生徒会主催シンポジウム

(4)小中連携・地域貢献
 小中連携では「スマホ出前授業」や月2回の「あいさつ運動」を行っています。「あいさつ運動」では、良いあいさつをした児童に「グッドあいさつカード」を渡しています。これも生徒会執行部の公約の一つであり、児童の頑張りに一役買っていると聞いています。
 地域貢献では、ボランティア活動に参加する生徒の割合が飛躍的に伸びました。これは「目的」を意識させたことや、生徒会執行部が中心となって、全校生徒に呼びかけをしたことの成果だと思います。活動後の振り返りから、自己有用感や積極的に取り組む大切さを感じた生徒が多かったです。

3 おわりに

 定期的に行う調査の結果では、目的・目標を意識して行動したり、行事等での達成感を感じたりする生徒の割合や生徒の授業以外での学習時間が増えました。全教職員で取り組んだことや教育相談を基にしたかかわりを行ったことが成果につながったと考えます。
 今後も生徒一人一人が将来を見据え、主体的に取り組む活動を多く取り入れ、それを全教職員で行っていきたいと思います。

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