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【興陽高校】庭師になりたい!-造園女子の挑戦 part1-

「造園」という言葉を聞いて何を連想しますか😉?

「剪定」?
それとも「ガーデニング」?

どちらも正解です

ですが、今回紹介するのはコチラ ↓

んっ?

んっ? 遺跡の発掘…?

いえ、違います。

これは「造園技能検定」の会場です。この土で盛られたスペースに庭を造っていくのが今回のお話です。

岡山県立興陽高等学校には、県内で唯一、造園を学ぶことのできる学科があります😊


その造園デザイン科で学んでいる、森 風花(もり ふうか)さんにスポットライトを当てて取材しました

今後も、いろいろなことにチャレンジしていく森さんを追いかけて取材する予定です!

今回は、第1回目(part1)になります
😊


6月13日「造園女子」森 風花さんとの出逢い✨


初めて会った時の森さん
暑い中、爽やかに登場してくれました!

すでに初夏のきざしがあった、蒸し暑い日の午後。

興陽高校3年生の森さんに初めて会いました

この時、森さんは、翌週末に「造園技能検定2級」の受検をひかえていました😊

※「造園技能検定2級」とは、
 造園に関して、働く上で身に付ける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度で、実技試験と学科試験により行われ、合格すると「造園技能士」と名乗ることができます。

白い帽子に緑のポロシャツで颯爽と現れた森さん。

この日は、森さんを含めた造園デザイン科の生徒たちが、年内の完成を目指して「卒業庭園(卒業の記念となる庭園)」をつくっている最中でした。

炎天下の下、庭園をつくる生徒たち

 森さんにお話を伺ってみました😊

Q (取材時点で)来週末に「造園技能検定2級」の受検をされますが、これは、最初から最後までが1人での作業ですよね。

今つくっている「卒業庭園」は、1人ではなくて、みんなでのチームプレイになりますが、1人での作業と比較してどのような違いがありますか?

A みんなそれぞれ「得意分野」と「苦手分野」があると思いますが、みんなで作業することによって、お互いに補い合えますよね✨

 みんなで力を合わせて「それぞれの得意分野を輝かせることが出来る」のがメリットだと思います✨

 1人で作業する場合だと、みんなと意思疎通しなくても良いので、自分で考えたことを、自分の手順で進めることが出来るというメリットはあります。

 でも、1人だと「苦手分野」もすべて1人でこなさないといけないというデメリットもあります🤔

「お互いの得意分野を輝かせることができる」
チームでの作業

Q 森さんの「得意分野」と「苦手分野」を教えてください😉

A 「得意分野」は「植栽」と「張り石」です✨

 「植栽する」ことによって、お庭がまとまっていったり、お庭が映えたりするので、それが好きです✨

 たったひとつの配置で、お庭の雰囲気が変わるので面白いですね!

 「張り石」は、薄い石を割っていって、亀の甲みたいに並べて行く作業があるんですが、それ自体が楽しいです😉

 「苦手分野」は、あまり力が無いので、大きな石を運ぶ作業です😂

(今度受検する)「技能検定2級」でも「飛び石」を運ぶ作業がありますが、とても大きな石で、運ぶのにも時間がかかるし、石を据えるのにも時間がかかるので、やっぱり力が必要な作業は苦手です🤣

Q「苦手分野」を克服するために、どんなことに気を付けていますか?

A うまく「時間配分」をして、「得意分野」は移動や作業も早く済ませて、「苦手分野」の方に時間が割けるようにしたいです!
 
 
苦手な所も、やっぱり時間を短くしたいと思っていますが、雑にならないように、丁寧に作業をするように気を付けています。

ありがとうございました✨来週末の検定、頑張ってくださいね😊ー
(この日の取材は終了しました!)


6月20日「造園技能検定2級」受検2日前✨


 興陽高校に、2回目の取材に行く予定にしていた週の初め、森さんが(利き手ではない方の)人差し指をケガしたとの連絡がありました。
 
 心配になりながら「造園技能検定2級」の受検を2日後にひかえた森さんを訪ねました。

 ↓ こちらの建物の中で、お話を伺いました。

森さんからお話を聞いた、
興陽高校敷地内の実習室です!


受検をひかえた直前、
指をケガしてしまった森さん

 
 森さんの今の思いについて、お話を伺ってみました

Q どういった状況でケガをされたのですか?

A 竹垣を作る練習の際、雨の場合を想定してキリで竹に穴を開けていました。その後、のこぎりで人差し指を切ってしまいました。すぐ病院に行って、8針、縫ってもらいました。痛くて、指が曲がらないです。

Q ケガされた今は、どう過ごされていますか?

A (その時点で)2日後の検定には、興陽高校からもう一人受検するので、練習しているのを見ながら、イメージトレーニングしたり・・・。

 
後は木の種類を問われる学科試験があるので、木の名前を覚えたりしています。(2級の検定では、100種類程度の木の名前を覚えて、当日は、その中より15問程度が出題されます。)

 

いつも明るく質問に答えてくれる森さん


「造園技能検定2級」の試験には
木の名前も出題されます!

造園デザイン科の尾畑 篤司(おばた あつし)科長です。
造園に詳しくない取材陣にも、わかりやすく教えてくれました✨

Q 日々、良いことも、そうでないこともありますよね。(今回ケガをされたように)自分の思い通りにはいかないこともあるかとは思いますが、どのようにして乗り越えたいですか?

A 「自分はけっこうネガティブ!」なので、
(※取材当初から、森さんのことをポジティブだと思っていた取材陣はかなりびっくりしました)
作業が思うように進まない時は、すぐにグダグダになってしまいます。頑張って、気持ちの切り替えができるようになりたいです😊

「その日あったことはその日のうちに解決する」ことができるように、今、頑張っていますが、次の日に引きずってしまうこともあるので、その時はどうにか自分で解決する方法を見つけたいと思っています✨

だんだんと、
いつもの笑顔が戻って来た森さん

森さんの気持ちを切り替えるため、他の質問もしてみました!

Q 「造園」を目指すきっかけを教えてください😊

A 小学校3年生か4年生の頃、コンベックス岡山で「職業体験」のブースがいくつか出展されているイベントがありました。

 もともとの夢だった「福祉系」の職業体験をしたいと思っていましたが、体験の間に、たまたま空き時間があって、すぐできそうで楽しそうな「造園」のブースに行くことにしました。

 具体的には、小さな盆栽をつくるみたいな・・・。

 小さなお茶碗のようなものに、粘土みたいなものを付けて、木を植えて、コケを貼って、石も置いて、完成という体験です✨

 それを、職人さんと一緒に作って。

 体験して、とても楽しかったし、職人さんたちが、すごく生き生きとしていて、笑顔でとても楽しく働いている感じが伝わってきたので、興味が出始めて。

 自分でいろいろ調べているうちに、興陽高校に「造園」について学べる科があることを知って、興陽高校を受検しました😊

Q 将来の夢は何ですか😊?

A 「庭師」になることです!
「庭師」になって、(その仕事で)ごはんを食べていこうと思ったのは、小学校6年生か、中学校1年生の頃です✨

 家族も、
(森さんの人生は)お父さん、お母さんの人生ではなくて、子どもひとりひとりの人生だから、自分の思う道に進んでほしい。どんな道に進もうとも、私たちは絶対に応援するから✨」
と言ってくれました😊


爽やかな笑顔が
ステキな森さんですが・・・


時折見せる、
真剣な表情もカッコいい森さんです!


6月22日「造園技能検定2級」受検当日✨


 ついに!受検当日となりました😊

 ケガをしている森さんですが、先生や保護者とも相談し、受検することを決めたようです。
(ケガの方は大丈夫でしょうか。とても心配です。)

受検開始前の会場の様子


受検当日の早朝、
イメージトレーニングをする森さん

 
 「造園技能検定2級」の実技試験の課題は事前に公開されていますが、1つ目の試験として、指定された区画内に、竹垣製作、縁石敷設、敷石敷設および植栽の作業を行う「製作等作業試験」があります。

 
いかに課題に忠実に近づけるかを目指して、時間内に1人で作業を行います。

 試験時間は2時間30分で、3時間以内に作業が終了しない場合は「打ち切り」となります。

 
今回、写真はありませんが、2つ目の試験として、樹木の枝葉の部分を見て、その樹木名を判定する「判断等試験」もあります。(試験時間:5分です)
  
 また、後日、別の日程で「学科試験」も行われます。


まずは「竹垣製作」です!
真剣なまなざしが印象的です!


重い石を使っての作業です!
指のケガの方は大丈夫でしょうか?


炎天下の下、
ひたすら黙々と作業に取り組んでいきます!


敷石の配置を決めて、
地中に埋めていきます!


森さんが「得意分野」だと話してくれた
「植栽」です!


完成したお庭です!


 試験終了後、森さんにお話を伺ってみました✨


試験終了後、笑顔の森さんです、
おつかれさまでした!


Q 試験は、2時間30分以内にできましたか?

A はい!できました😊
とりあえず、時間内に終わったので、よかったかな!と思います✨


Q 指のケガは、大丈夫でしたか?

A 作業の途中で出血してしまい、「ヤバイな」と思いました🤔 休憩時間にテーピングをグルグル巻きにしてもらいました!



Q 今までの練習の成果は発揮できましたか?

A ここまで来るのにいろいろ苦労もありましたが、前日の練習より早く作業ができたんですよ

前日は「もう、できない!!!」という気持ちになって、かなり落ち込んでいたんですが・・・。

Q 課題にはかなり近づけたと思いますか?

A 最初の練習の頃に比べたら、早くできたし、見た目もキレイにできました😊

ー森さん、ケガで大変な中、がんばりましたね!ー


6月26日 「造園技能検定2級」受検を終えて✨

 
 先日の「造園技能検定2級」の受検を終えた森さんを訪ねて、いろいろとお話を伺ってみました!

Q その後、指のケガの方は大丈夫ですか?

A とりあえず抜糸はしましたが、指の周りが腫れてしまって・・・。無理はしてはいけないので、2~3週間は安静にしておくようにと、病院の先生に言われました。

Q ケガの影響はあったと思いますが、無事にやりきることができましたね😊

A 実は、前日はかなり落ち込んでいました。前日の「通し練」(試験の内容を一通り練習すること)がうまくいかなかったので。

でも、前日にそういう思いをしたことで、本番では、練習の時よりキレイにできたし、早く作業ができました😊

いつも指導してくれている田中 賢造(たなか けんぞう)先生にも、
「もりこ(森さんの愛称)は、練習の時も頑張っているし、いろいろと悩みながらも、前向きに取り組んでいるから、大丈夫だよ✨」
と励ましてもらいました


試験の緊張から解放されて
笑顔で話してくれた森さん


Q 前日の練習より早く作業ができた理由を教えてください。

A ケガをする前に比べて、竹垣をシュロ縄で結ぶのに時間がかかるようになってしまったんですよ🤣

 そこを克服するために、竹垣全部の作業が終了した後にする「手直し」にあまり時間がかからないようにと考えて・・・。

 竹の高さを合わせるのに時間がかかるので😂、
 1本1本のシュロ縄を竹に結ぶ前に、張ってある水糸(みずいと)の高さと竹の高さが合っているかを
(作業中に)きちんと確認していったことが、ケガをする前より作業が速くなった理由です😊

※「水糸」とは、
水平に竹垣を製作するために、目安として張ってある紐のことを指します。

ー日頃の練習の成果と、いつもきちんと自分で考えながら進めている作業が、実を結んだのですね✨ー

Q 森さんを惹きつける「造園」の魅力って何ですか?

A やっぱり「答えがない」というのが、一番の魅力です✨

 例えば、お客さまひとりひとりにとっての「最適なお庭」って、決まったカタチはないですよね。

 そこで、一緒に相談しながら、最適なお庭を見つける、それが「造園」の良い所でもあり、難しい所でもあると思っています!


森さんにとっての「究極の目標」って?


Q 先日「庭師になりたい!」と話してくれましたが、これから「造園」の道を進んで行かれた先の「将来の究極の目標」について教えてください😊

A 将来は、ひとりひとりのお客さまに合うお庭を、本気で手がけている所で働きたいです

最終的には、
「誰かに喜んでもらえる、みんなに愛されるお庭」
をひとつでも多くつくりたいです
👍

お客さまに、
「こんなお庭をつくってもらえて、とても嬉しいわ!ありがとう✨」
と言ってもらえるようなお庭をつくることが、究極の目標です
😊

  今後も「若年者ものづくり競技大会」や「技能五輪全国大会」にチャレンジする森さんを、みんなで応援しましょう

「庭師になりたい!」
という夢に向かって頑張っている森さんを
みんなで応援しましょう!

 次回(part2)の予告です

 森さんの取材に伺った際、興陽高校の敷地内で、高校生とも、学校の先生とも異なる2人の姿を目にしました。

この写真から2人が相当高い技術を有していることがわかります!

 
 
お話を聞くと、この2人は、岡山県倉敷市にある造園会社「イカサ緑地(株)」の田子 雅也(たご まさや)さん(写真手前)と福元 健悟(ふくもと けんご)さん(写真奥)で、興陽高校で森さんたちと同様、練習に励んでいるとのこと

 なんと
 この9月にフランスのリヨンで開催される「第47回 技能五輪国際大会」に造園の日本代表として出場されます✨

 ではなぜ、このひときわ目を引く社会人2人が高校の敷地内で練習をしているのでしょうか?

 それには、訳があります😉

 次回(part2)は、森さんの活躍はもちろんのこと、今、興陽高校で何が起きているか、造園業界の動きにも着目し、取り上げて行きます✨

 今回取材した興陽高校を含めて、岡山県内には魅力あふれる県立高校がたくさんあります😊
 「おかやま県立高校ナビ」をぜひご覧ください✨