【優良実践発表】生徒の主体的な取組の推進と保幼小中の連携による落ち着いた学習環境づくり

笠岡市立笠岡東中学校

令和元年度の優良実践普及事業で優良実践校に選出された実践を紹介します。『教育時報』令和2年9月号に掲載されました。


1 はじめに

 本校は、笠岡市東部に位置し、全校生徒359名の中規模校です。数年前まで校内外において生徒指導上の課題を有し、落ち着いた学習環境の形成が課題となっていました。そこで、社会性の伸長による常に落ち着いた学校づくりを目指し、次のような取組を行いました。

2 本校の取組

(1)目指す学校像の共有
~SMILES& THANKSカードの取組~
 「笑顔と、他者から感謝される行動で溢れる『地域に愛される学校』にしたい…」。生徒会と教師が目指そうとする学校像を共有し、平成29年度からSMILES&THANKSカードの取組が始まりました。他者から感謝される行動を教師が認め、カードを発行して称揚。生徒は家庭にカードを持ち帰り、保護者に認めてもらうというSWPBISの取組を生徒会活動に位置付けたことで、生徒・教師・保護者が一体となって目指す学校像に迫ることができたと思います。

(2)異校種間連携実践
~「すこやか月目標」の取組~
 校区内小・中学校で生活目標(「すこやか月目標」)の共有を図り、徳の行動化による非認知能力の向上を目指して各校で創意ある実践が行われました。また、保育園・幼稚園・認定こども園共通の月目標も「すこやか月目標」に合わせて策定され、校区内保・幼・こ・小・中連携教育の重要な柱となっています。
 本校では、「すこやか月目標」の取組を生徒会活動に位置付け、生徒集会で生徒会総務による呼びかけを行うとともに、各クラスで、毎週、具体的な行動目標を設定し、週末に振り返るようにしています。
 また、SWPBISのマトリクス表を参考に月目標毎の行動チャートを生徒会で作成し掲示しています。

「すこやか月目標」ポスター

(3)SNS利用に伴う課題の解決に向けた取組
 平成27年度から参加しているOKAYAMAスマホサミットや、全国いじめ子どもサミット等での学びをもとに、なりすましやネットいじめに関する啓発ドラマを作成したり、「今月のスマホ宣言」を生徒集会で発表し、クラス掲示によって注意喚起を行ったりしました。
 また、昨年度は校区の小学校で生徒会執行部による6年生を対象とした出前授業を実施しました。事前のアンケート調査に基づいて、ゲームやSNSを利用するときのルールについてグループで話し合いました。ピア・サポートの実践としても、一歩前進できました。

小学校でのSNS出前授業

(4)特別の教科「道徳」の授業研究
 令和元年度中学校道徳授業充実拠点校事業の指定を受け、徳の行動化実践の基盤となる「道徳」の授業充実を目指した授業研究に取り組みました。四天王寺大学杉中康平教授をアドバイザーとしてお迎えし、道徳の授業づくりについて楽しく研修を進めることができました。また、学びの振り返りを視覚化し生徒が共有できるよう、道徳通信や
教室内掲示等の工夫も行われるようになりました。

3 おわりに

 こうした取組により、規律ある落ち着いた学習環境が整い、生徒は意欲をもって学習に取り組んでいます。また、西備地区授業改革推進チームの支援のもと、新学習指導要領を踏まえた授業づくりも進み、学力向上に向けた基盤が整いつつあります。
 さらには、令和3年度から試行される小中一貫教育の実施に向けて、本年度、笠岡東中学校区小中一貫教育グランドデザインが策定されました。確かな学力とともに、社会性の伸長等非認知能力向上の取組が重点施策として位置づけられています。これまでの実践をベースに新たな生活様式を踏まえた創意ある取組を進めていきたいと思います。