【優良実践発表】地域との連携協働による、落ち着いた学習環境と学力向上の取組

美作市立英田中学校区

令和元年度の優良実践普及事業で優良実践校に選出された実践を紹介します。『教育時報』令和2年9月号に掲載されました。


1 はじめに

 本中学校区は、岡山県の北東部、多くの史跡や自然に囲まれた美作市の南端に位置しています。児童生徒数の減少傾向が続く中、学校園単独ではなく中学校区(保幼小中)として地域と連携協働した取組を進めています。

2 取組の概要

(1)中学校区連携
①中学校区学校運営協議会
 平成29年度に幼小中合同の中学校区学校運営協議会が発足しました。同年度末には地域内に啓発看板を設置、翌年度は毎回テーマを設けて、子ども・学校・地域をよくするためのさまざまな意見交流を行いました。令和元年度は年間テーマを設定し、中学校区の災害時対応について協議を行い、子どもたちの安全安心はもとより、地域の防災意識も高めることができたと感想をいただきました。

学校運営協議会の一場面

②ハートフルAIDA
 小中連携によるさまざまな取組を保幼まで広げ、「ハートフルAIDA」として中学校区連携の取組を行っています。学力向上部会や子育て部会等を整備し、子どもたちの15年間の学びと育ちを支えるものとして、継続した取組を進めています。

(2)学力向上
〇協同的探究学習の研究
 平成30年度に英田小、英田中が県の指定を受けたことから、小中連携の中で、東京大学大学院の藤村宣之教授のご指導の下、学力及び自己肯定感の向上を目指した授業改善の研究を行いました。小中相互の公開授業や合同指導案検討を行い、2年目には小学校では学力調査の平均正答率が、中学校では学習状況調査の肯定率が前年度からそれぞれ上昇するなど成果が見られました。

(3)豊かな心の育成
①小中合同ボランティア
 児童会と生徒会が協働して毎年12月に地域清掃活動を実施しています。地域ボランティアの方々にも参加していただき、また、幼稚園にも出向き園児と一緒に園庭の清掃を行っています。
②小中合同かるた大会
 平成29年度、生徒会の発案で、スマホ利用に関する啓発のため、全校生徒で内容を考えた校内かるた大会を開催しました。翌年度はメディア利用をテーマとし、小学校にも出向いて合同かるた大会を行い、令和元年度は、A3版の巨大かるたを作成し同様に行いました。かるたの作成、実施を通して自分たちの生活を見つめ直し、小学生との交流を通して思いやりの気持ちを考えるきっかけにもなりました。

小中合同ボランティアの一場面

3 おわりに

 地域の関心の高まりが落ち着いた学習環境の構築に、授業改善の取組が学力及び自己肯定感の向上に、小中合同行事の取組が相互の学び合いや豊かな心の醸成につながってきたと思います。これからも、子どもたちの笑顔のため、工夫しながらさまざまな取組を進めていきたいと思います。