【優良実践発表】寄島学園コミュニティ・スクールと連動した学校経営戦略
浅口市立寄島小学校
令和2年度の優良実践普及事業で優良実践校に選出された実践を紹介します。『教育時報』令和3年6月号に掲載されました。
1 はじめに
本校は、浅口市の沿岸部に位置している児童数170名(令和2年度)の学校です。
寄島地区には保育園、こども園、小学校、中学校が各1校園ずつ設置され、交流活動等連携を進めてきたことから、全体の呼称として「寄島学園」と呼んでいます。そして、現在4校園の寄島学園コミュニティ・スクール(CS)として活動をしています。
2 現状と課題
(1)アンケートの結果から
小・中学校の児童生徒、保護者、教職員、地域住民にアンケート調査を実施しました。
①育てたい子どもの姿
「思いやり」などの徳育や、「あいさつ」などの主体性に関することが多い一方で、「寄島を愛する子」は少なく、人口減少が進むこの地域では、大きな課題であると感じました。
②強み(魅力)
海を中心とした自然や伝統的な行事等が挙げられました。
③弱み(課題)
学校では学力低下や規範意識の低下、教員の多忙化等、家庭ではメディア依存、過保護や子育てに関わる言動等、地域では人口減少や人間関係の希薄化、子どもの活躍の場の減少等が挙げられました。
3 取組内容
(1)組織体制の構築
①校内に全職員参加の4つのプロジェクトチームを設置し、CSの実働部会と連動し、地域を含めたチーム寄島で、子どもの成長と、地域の活性化に取り組みました。
この体制を実働化する組織にするために、チーム全員参画による学校評価書・アクションシート等を作成し、校内チームやCS部会のアクションの見える化を図り、学校経営とCSとの連動が進むように仕掛けました。
(2)地域に開かれた教育課程「よりしま学」の開発
「よりしま学」とは、ふるさとに誇りをもつ子どもの育成をねらいとした地域学習です。「海」をテーマに海洋教育やSDGsの視点から「寄島に親しむ」「寄島を知る」「寄島を見つめる」「寄島に貢献・還元する」ことができるよう必要な内容を小学1年から中学3年までの生活科・総合的な学習を核に配列し、子どもたちが寄島の強みを生かし、弱みを解決する学びにつながるようにします。
教員のフィールドワークや、地域住民、児童生徒等のアイデアを生かした熟議、授業実践を行いながら、「よりしま学」カリキュラムシートやストーリーシートを作成しました。今年度その追試を行い、よりよい学びにつながるよう改善をします。
4 おわりに
チームとして課題解決に取り組む組織集団の運営により、学習習慣や生活習慣等に少しずつ効果が現れてきましたが、自己肯定感が低い等の課題も見て取れました。
今後、それら課題解決へ向け、学校組織とCS組織の一体化による学校経営、持続可能なCS活動の推進を図っていきたいと思います。