高校生国際会議「Summit for “Well-being” in Okayama 2024」が開催されました!
○“Well-being”って何だろう?
”Well-being”とは、「すべての人が身体的、精神的、社会的に健康、幸福であること」。
そういう社会を実現していくために、2月3日、岡山県の高校、中等教育学校17校から58名の高校生のみなさんが「OHK KURUNホール」に集まりました。
この会議は、文部科学省「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業」の一環として開催されました。
ブルキナファソの王族の直系の子孫である、アブゼ・ジグマ王女殿下の基調講演をもとに、高校生のみなさんが“Well-being”な社会の実現のために、今、何ができるのかを考え、どのように行動していく必要があるのかについて議論し、その内容を「おかやま高校生“Well-being”宣言」としてまとめ、世界に発信していくことを目的としています。
○鍵本芳明県教育長が開会のあいさつ
「今年の1月1日、石川県の能登半島で、最大震度7の地震が発生し、多くの命が失われ、また、たくさんの方が住む所を失い、避難生活を余儀なくされています。被災地で、多くの人々が“Well-being”を脅かされている状況を、皆さんも連日の報道で目の当たりにし、心を痛めていることと思います。
しかし、このような困難な状況のなか、人々は希望を失うことなく、被災地での救援活動、ボランティアに従事するなど、懸命に“Well-being”を守るための実際の行動を起こしています。
実現が簡単ではないからこそ、“Well-being”について、一人ひとりができることをよく考え、自分だけではできないことも、協力しながら実際の行動を行っていく、このことがいま、とても大切だと思います」
開会にあたって、鍵本県教育長は、会場のみなさんに、このような言葉を贈りました。
○アブゼ・ジグマ王女殿下の基調講演
国連がSDGsを採択した際の中心メンバーであり、地球環境問題、持続可能な教育(ESD)、エネルギー政策等について、国際的な舞台で長きに渡り、リーダーシップを発揮している、アブゼ・ジグマ王女殿下が基調講演を行いました。
「高校生のみなさんは、これからと言うより、すでにリーダーシップを担っていると言えます」
「例えば、本の行間にある考え方を理解するといった力が、今後、高校を卒業して、世界に出ていく時のパスポートとなり得ます」
「“Well-being”という言葉の意味が、私の中に核としてあります。私たちは、ひとりではなく、us(私たち)だということを意識することが重要です」
「自分のenergy(気)を信じて、前に進んでください」
「自分の周りの人の行動を見て、目を開いて行動することが大切です」
「ひとつの行動から感銘を受けて、そこから何かが出来ないかと考えてみてください」
など、ジグマ王女殿下が英語で語られた言葉は、しなやかな強さと優しさであふれたものでした。
また、海外のドキュメンタリーの映像により、夕方になると周囲が暗くなり、勉強が出来なくなるブルキナファソの子どもたちに、太陽光で発電する電気スタンド「MAMA-LIGHT(ママライト)」を届けるという王女殿下の活動が紹介されました。
○参加生徒によるラウンドテーブル
「夢×Well-being=地球の未来を変える力」というテーマで、11テーブルに分かれて議論しました。
会場だけでなく、オンラインで、台湾の台南市天主教聖功女子高級中学の生徒ともつながり、英語も駆使しながら、熱く議論しました。
アブゼ・ジグマ王女殿下も、高校生と一緒にラウンドテーブルに参加し、生徒たちの言葉に熱心に耳を傾けていました。
さぁ、この後は、みんなで議論した内容の発表です。
○全体協議
「おかやま高校生“Well-being”宣言2024」に向けて、各グループ代表の生徒が、それぞれのテーブルで議論した内容を発表しました。会場は高校生たちの熱気であふれていました。
例えば、あるグループでは、
「・コミュニケーションをとるために言語(特に英語)や相手の文化を学ぶ
・自分から積極的に動いて、視野を広げる
・自分の好きなことや興味のあることを深めて、誰にも負けない強みを作る→国際人、市場価値のある人になる」
また、別のグループでは、テーマとして「Raise your voice!(声をあげよ!)」を掲げ、
「① 色々な社会問題について調べ、情報を集め、知識を得る
② 過去や現状を知り、今に活かせることを考える
③ SNSを通じて、情報を世界に発信する
④ 一人ではなく、同じ考えを持っている人たちとのコミュニティを広げる
⑤ 協力し、ボランティアに参加することで社会問題に自ら携わる」
などと、話し合ったことを前向きに行動に移そうとする姿勢がみられました。
それぞれのグループ発表の後、コーディネーターの岡山大学副学長 横井篤文氏と、World Road Inc.代表取締役 市川太一氏が議論の内容について位置づけてくださいました。
市川氏からは、
「世界で活動するときに大切なのは、『How to speakよりWhat to speak』すなわち『どのように話すかよりも、何を話すか』だと言われる。話している相手のことをもっと知りたいとか、共感したいという思いをもって、話すことが大切であり、そのことが、相手の課題を解決することにもつながる」
「好奇心がキーワードになるかと思うが、好奇心を持つことを実行し続けてほしい。そのうち、自然と興味を持ってくれたり、会うべき仲間が増えて行ったりする。自信を持ってやり続けていたら、仲間が集まって来る」
などと、アドバイスをしてくださいました。
また、横井氏は、「海外の人とコミュニケーションをとる際、地域のことを知りたい、岡山のことを知りたいと聞かれるが、なかなか答えられない人が多い。まずは自分たちが地域や岡山のことを知ることが大切」
「強みを知るという言葉がでてきたが、それは、同時に弱みを知るということでもある。そうした互いの弱みを互いの強みで補完し合うということ、つまり、共に創っていく『共創』ということが大切だ」
「そもそも教育とは知ることである。世間には、たくさんの情報があふれているが、fake=偽情報も多くふくまれている。『education』すなわち教育によって得た『まなざし』で、それが正しいのか、正しくないのかを、目利きができるようになってほしい」
などの助言をいただきました。
○最後に参加者全員で記念撮影
最後に、参加者全員で記念撮影です!
このよき日の高校生たちの思いがひとつのうねりとなり、すべての人が身体的、精神的、社会的に健康、幸福である“Well-being”な社会が、近い将来に実現しますように。