【優良実践発表】学力向上及び生徒の自己肯定感の向上に向けた取組
倉敷市立東陽中学校
令和元年度の優良実践普及事業で優良実践校に選出された実践を紹介します。『教育時報』令和2年4月号に掲載されました。
1 はじめに
本校は干拓地に位置し、交通の便にも恵まれている生徒数約800名の中学校です。自己肯定感が低いという生徒指導にもかかわる課題を改善しながら、学力向上を目指した研究の概要を紹介します。
2 自己肯定感を高める学び
(1 )「サクセスフル・セルフ」の実践
目指す生徒像を「自信をもって、将来の夢や目標に向かえる生徒」として、岡山大学安藤美華代教授が提唱されている心理プログラム「サクセスフル・セルフ」を実践しました。「自己理解」「人間関係」「対処と解決」のテーマで、年間を通して行い、好ましい人間関係を構築するためのコミュニケーションの方法や具体的な場面での問題への対処の仕方を学習しました。
(2)「授業5(ファイブ)」の導入
「岡山型学習指導のスタンダード」を取り入れた授業づくりに学校全体で取り組みました。全てのクラスに各教科の課題の予定を書くホワイトボードと「めあて」や「まとめ」の「授業5」のプレートを設置しました。どの教科にも通用する授業の型づくりを進めることで、生徒は授業に対して自信を持って取り組めるようになりました。
3 学力向上への取組
本校でも、家庭学習時間が全国平均を下回る現状がありました。そこで、「家庭学習のスタンダード」を活用した家庭学習指導の見直しを行いました。
(1)自主学習のススメ
自主学習の記録が書き込める生活ノートを活用し、担任が自主学習の状況を把握しました。模範となるページは、優れている点や工夫している点等の解説を付けて校内掲示を行いました。生徒も保護者も興味をもって見ている姿が多く見られました。学期を通して自主学習を頑張った生徒には、本校独自の表彰である「かがやき賞」が与えられ、さらなる向上への原動力になっています。
(2)家庭学習推進ポスター
生徒の目を引くアイディア溢れるポスターを校内に掲示し、生徒の意識改革を行いました。スポーツ選手・動物等、インパクトのあるポスターで畳み掛けるように生徒に語り掛けることで、「学校全体で学習する雰囲気づくり」を目指しました。
(3)学力向上ダービー
家庭学習の時間を、1週間クラス単位で競わせました。自己申告した学習時間を毎日集計して、掲示しました。期間中には学習に関する放送を行い、全校でダービーに取り組む環境をつくりました。
(4)保護者の意識改革
家庭学習の取組への協力をお願いする文書を配布したり、学年だよりや学年懇談会で話題にしたりしました。保護者からは、学校の取組のおかげで声掛けがしやすいという声があがりました。
4 成果と課題
最近の調査では、全ての学年で家庭学習時間の大幅な増加が見られました。それに伴って、学力の向上も見られました。
これまで、生徒に自信ややる気をもたせる取組と飽きさせないしかけで、学習に対する意識改革を行ってきました。今後もこの取組を継続・発展させていくことで、質の高い学習を行う力を養い、これからの課題である読解力・記述力の向上を目指したいと思います。