【私の工夫】児童の 児童による 児童のための言語活動(小学校外国語科)

岡山市立福島小学校 教諭 西岡 倫子(所属・職名は執筆時)


1 はじめに

 私が小学校外国語教育の楽しさに引き込まれたきっかけは、今から10年前に、徳島県鳴門市で行われた全国小学校英語活動実践研究大会である。そこに、指導講評、全体会の講師として来られていた文部科学省の直山木綿子先生のお話がたいへん分かりやすく、また、直山先生の巧みな話術で、
「私も子どもたちのためになる授業がしたい。」
と心が熱くなった。以後、県や市の小教研で勉強をさせていただきながら、今日に至っている。幸運なことに、県の小教研主催の夏季研修会に、毎年、直山先生が来てくださっている。ここで、常に最新の情報を教えていただきながら、自分の授業改善に励んでいる。

2 求められる「言語活動」とは

 学習指導要領の高学年外国語科の目標には「言語活動を通して」と明記されている。それぞれの教科目標には「○○を通して」という文が必ず入っていて、ここに教科の特色が表れる。○○の部分に「言語活動」が入るのは、国語科と外国語科の二教科である。つまり、言語教育は、言語活動を通して行われなければならないということである。そして、この言語活動に「目的・状況・場面の設定」は欠かせない。設定の違いで、児童に求める言語材料や英語表現は変わってくるし、教師の評価は変わってくる。この設定の中で児童は、獲得した知識や技能を最大限に活用しながら、思考・判断・表現していくからである。

3 授業実践

We all live on the Earth.
(NEWHORIZON ELEMENTARY6 Unit5)
【目的】様々な動物のすみかや食べ物を外国語で表現し、クイズ大会を楽しむ。
【状況】動物クイズは三年生で一度体験しているので取り組みやすい。また、理科の食物連鎖との関連を図ることができる。
【場面】ペアになり、それぞれの動物のすみかや食べ物についてのアニマルクイズを出題してやりとりする。

 動物クイズは、その名前や体の特徴についての出題を、3年生で経験している。今回は、1学期に学習した理科の食物連鎖との関連を図りながら、さらにレベルアップしたクイズ大会という形式を取り入れた。クイズでのやりとりのために「話す・聞く」という必然性が生まれる。クイズは児童が好きな活動だが、単にクイズに答えて終わりではなく、そこから新な情報を加えたやり取りをねらった。
 活動に必要な言語材料はスモールトークなどを活用し、単元を通して段階的に習得していった。クイズに解答すると出題者から動物シールがもらえ、その動物が地球の絵が入ったワークシートにたまっていく。シールが増えていくと達成感を感じられる上に、完成したワークシートから、地球上で様々な動物たちがつながっていることを視覚的に感じ取ることができる。

 この授業では、全ての児童が動物のすみかや食べ物についてやりとりでき、B基準を達成できた。
 また、すみかや食べ物だけでなく、そこから更に、えさとなる生き物のすみかや食べ物、取り上げた動物の特徴などに会話を広げていくことができている児童が多数見られた。会話が続くためには、「質問力」が大切だ。クイズ大会の活動中に中間評価を入れて、どのような表現を使えるのかをみんなで共有したり、単元を通して、関連する質問を拾って加えていき、既習内容を活用して話を広げていくことに取り組んだりした成果だと考えている。

4 終わりに

 外国語が教科として全面実施になり2年が経とうとしている。この2年間で、たくさんの先生方からすばらしい実践を学ばせていただいた。
 しかし、中には、専科の先生が、なかなか学級担任と児童の情報を共有できず、孤独感を感じているという問題もあるという。授業を考える時にはぜひ一人で悩まず、周りの色々な先生方と相談してほしい。外国語の授業に真摯に向き合い、相手意識や目的意識を大切にした楽しい活動を考えられている先生方は多くいらっしゃる。先生方の子どもへの情熱と児童観察の経験が必ず「目的、状況、場面」を意識したよい言語活動のヒントになるはずである。
 私自身も自分の英語力をもっとブラッシュアップし、よりよい授業改善に励んでいきたいと考えている。


『教育時報』令和4年3月号「私の工夫」で紹介された実践です