【優良実践発表】落ち着いた学習環境を土台とした学習習慣形成の取組

奈義町立奈義中学校

令和元年度の優良実践普及事業で優良実践校に選出された実践を紹介します。『教育時報』令和2年8月号に掲載されました。


1 はじめに

 奈義町の北にそびえる那岐山は、町のシンボルとして広く町民に愛されており、四季折々に美しい自然を見せてくれます。その豊かな自然に抱かれた奈義中学校の生徒は、穏やかで落ち着いた学習環境の中でまじめに学習に取り組んでいます。
 しかし、以前から家庭学習習慣の充実が課題でした。そこで、落ち着いた学習環境を土台として、生徒が主体的に参加する授業づくりと学習意欲を高める取組により、家庭学習習慣の充実を図ることにしました。

2 取組の概要 

 本町では、幼小中一貫教育の研究テーマを「主体的で、学び合いのある保育・授業づくり」としています。子どもたちが学習に取り組む「主体的な姿」、「学び合う姿」を探りながら保育・授業研究に取り組んでいます。
 町の研究テーマを受けて、本校では仲間と積極的にかかわり合う授業づくりと生徒が充実感・達成感を得られる取組の工夫を研究の柱としています。

(1)落ち着いた学習環境づくり
①主体的に参加する授業づくり
 生徒の授業への参加意識を高めるために、各教科とも「自分で考え、表現する時間の確保」に努めました。個での思考を大切にし、仲間との交流を通して、さらに思考を深めることを目指して授業づくりを工夫しました。
②考え議論する道徳
 道徳授業「奈義中ガイドライン」を作成し、中心発問をどうすれば「考え議論する道徳」を実現することができるかを研究しました。道徳科での課題の与え方の研究は、他の教科での「学び合い学習」にも役に立てることができました。

道徳科研究授業:「考え議論する道徳」の在り方

(2)学習意欲を高める取組
①1UP・家庭学習でじぶんを救え!
 家庭学習時間を意識させる取組です。「部活動のない水曜日の家庭学習時間を1時間増やそう」と呼びかけました。クラス対抗で家庭学習時間を競い、学習時間が一番多いクラスと前回からの増加率の高いクラスを表彰しました。
②学習についての座談会
 1学期中間テスト前に、初めての定期テストに臨む1年生の不安や悩みの解消のために、生徒会主催による縦割り座談会を行いました。1年生の不安解消だけでなく、他の生徒の勉強方法やメディア利用状況を聞くことは、上級生の刺激にもなりました。
③自主学習ノート
 学習内容が充実するように、模範的なノートを廊下に掲示しました。さらに、小学校と連携し、互いの優秀なノートを交換して掲示しました。また、自主学習に使えるプリントを廊下において自由に活用できるようにしています。

学習についての座談会:「自主学習の進め方」等

3 おわりに 

 主体的な授業参加を目指した取組と学習意欲を高める取組が相互に作用し合ったように感じます。各教科の特性を活かした課題の与え方、学び合いの工夫により、生徒の学習活動が充実してきました。また、家庭学習時間も着実に増加し、「平日1時間以上の家庭学習」に取り組む生徒の割合は、全国・県平均を超えるようになりました。
 今年度の生徒会スローガンは「挑む」です。生徒の主体的な「挑み」を支えることで自尊感情・自己有用感の醸成を図りながら、学ぶ意欲を一層高める取組を推進していきたいと考えています。