【優良実践発表】地域と連携しながら、夢に向かってたくましく生きる生徒の育成(夢育の推進)

備前市立日生中学校

令和3年度の優良実践普及事業で優良実践校に選出された実践を紹介します。『教育時報』令和4年9月号に掲載されました。


1 はじめに

 本校は、岡山県東南部に位置し、兵庫県に隣接した学区を持つ、全校生徒121名の小規模校です。本校生徒の課題は、自ら考え行動したり、新しいことに挑戦したりするような場面で消極的であり、夢や目標を持っている生徒、自己に対するプラスイメージをもっている生徒の割合が少ないことが、県学力・学習状況調査においても結果として表れていました。そこで、学校教育目標を具現化する柱の一つを夢育とし、これまでの取組を生かしながら3年間を見据えた計画に作り直し、取組をスタートしました。

2 取組の概要

 3年間を見据えた計画の作成では、夢育を「生き方を考える、生き方の軸を得る」と捉え、「自分たちの地域やそこでの暮らし」「社会との関わり」の視点を大切にしました。計画の概要としては、これまで取り組んできた地域を学ぶ学習と職業・勤労に関する学習を連関させ、課題解決・探究型の学習を組み入れて、地域・企業・行政など社会とのつながりの中で生き方を考える学習としました。

(1)故郷を学び、生き方を考える海洋学習
 この学習は、「海」を通して自分たちの故郷とそこにある人々の暮らしや思いに触れる故郷学習です。1年生は、地元漁協の協力による牡蠣の養殖体験や海洋環境保全活動に関する講話・体験、2年生では、海を職場とする方々から仕事への思いを聞き取り文書にまとめる聞き書きの講義と実践を行います。

(2)「しごと」を学び、生き方を考える職業学習
 1年生では、仕事を知ることを主眼に、本市及び近隣市の市役所産業振興担当課に企業紹介をしていただき、関心を持った企業について取材を行ってまとめます。2年生は、体験を通して働くことの意味や意義を考えられるよう職場体験に加え、宿泊行事の際に企業訪問を行い、働くことに関する取材を行います。まとめたものは、同学年・下学年向けに報告を行い、視野を広げるようにしています。

(3)社会を体感し、生き方を考えるキャリア学習
 3年生では、社会を体感し、社会とのつながりの中で学ぶ学習を行います。企業コラボ学習では、令和3年度、制服メーカーの方に協力いただき、残布で商品開発・販売を行いました。そして、3年間の学習のまとめとして、住み続けられる町づくりに関する提言をまとめ、報告会を行います。生徒たちは、これまでの学習をもとに地域の強みを生かした課題克服策を練り上げます。

3 おわりに

 このような取組から、協働による課題解決への意欲の高まりや自己に対するプラスイメージを持つ生徒の増加が見られました。今後も多くの人とのつながりを大切にし、生徒の夢や目標を育み、それを叶える力をつける教育に取り組んでいきたいと考えています。