【優良実践発表】確かな学力の育成を目指した小学校教育の研究と実践
津山市立鶴山小学校
令和3年度の優良実践普及事業で優良実践校に選出された実践を紹介します。『教育時報』令和4年12月号に掲載されました。
1 はじめに
本校は津山市の中心部に位置する児童数355名の中規模校です。これまでも学力の改善に向け、基礎・基本を中心とした学習プリントや放課後補充学習、漢字検定などに取り組んできました。しかし、児童のつまずきが見過ごされたまま、次の学年に進級する実態があり、各種学力調査でも、全国平均を大きく下回る状況でした。
2 学校組織としての学力向上
学校が組織として学力向上を目指すためには、つまずき解消と授業改善が両輪として機能することが大切であると考えました。それぞれの担当を明確にするとともに、現状から課題を洗い出し、課題改善のための方策を検討しました。検討にあたっては、個々の教員が別々に取り組むのではなく、学校全体が継続的に取り組めるシステムとして機能することが必要であると考えました。
3 つまずき解消の取組
つまずき解消には、児童個々の学力状況とつまずいている箇所を把握し、個別につまずきを解消する必要があります。そこで、年間2回の各種学力調査に加えて過去の調査問題を活用しながら、年間5回の検証改善サイクルを年間計画に位置づけて取り組みました。
各調査後には、学校独自の個票を作成し、児童や保護者に返しています。個票には児童のつまずきや頑張りを見える化したベンチマークやつまずき解消に取り組むための関連問題等を明示しています。関連問題は職員室前の棚に置いてあり、放課後補充学習や自学で自由に使うことができます。児童の自力解決に向け、関連問題の裏面には解答も印刷されています。
保護者懇談でも個票をもとに、学力状況を伝えています。懇談後には保護者も関連問題を持ち帰り、休み中に親子で挑戦しています。それにより、子どもの学習面に目を向ける保護者が増えてきたと感じています。
4 授業改善の取組
授業改善に向けては、独自の校内研修サイクルを策定し、指導案検討から研究授業、授業後の研究協議までを一連のサイクルとして研修を進めました。特に重点を置いたのが外部講師との指導案検討です。指導案検討では、教員が新たな発想や気づきを得ることができ、授業改善に向けた貴重な時間となっています。教員が自分事として研究授業や協議に臨み、目指す子ども像の実現に向けた授業改善につながっています。
5 おわりに
学力向上に向け、学校課題に焦点化しながら、本校の教員全員がベクトルを合わせて取り組むことができたと考えています。今後も実践を積み重ね、確かな学力の育成を目指していきます。