【私の工夫】校務のデジタル化 -津山工業高等学校の場合―
県立津山工業高等学校 主幹教諭 道満 哲典(所属、職名は執筆時)
1 はじめに
GIGAスクール構想によって、Googleのクラウド・サービスと生徒1人1台のChromebookを活用することになり、教員にも1人1台のChromebookが整備された。これを生かした教育活動には、教員のICTに向かう「やる気」と「スキル」が必要である。
しかし現実は「スキル」は様々であり、残念ながら「やる気」も様々である。「若いから」「理系だから」等を理由にした仕事の偏りや「歳だから」「苦手だから」等を理由に活用が進まないこと等が心配される。
そこで、すべての教員がChromebookに触れなければならない=「使わなければ仕事にならない」状況と、ICT利用のメリットを実感できる=「使うと便利さがわかる」状況をつくって、「やる気」を刺激して「スキル」の向上を目指すことにした。ここでは、その取り組みの一例を紹介する。
2 Google・スプレッドシートの活用
以前の朝礼は口頭連絡とプリントで情報を共有していた。必死にメモをとりながらの混沌とした時間であった。長引いて定時より遅れてSHRを始めることも珍しくなかった。
そこで、情報共有シートをエクセルで作成して毎朝印刷して利用した。共有する情報は校内LAN上で集約した。口頭連絡が不要な「読んでわかる」入力を求めた。また、そのまま綴じて学校日誌になる様式とすることで一石二鳥の効率化となった。
Chromebook導入を機に情報共有シートをGoogleスプレッドシートに移植した。画面で確認可能となり毎朝の印刷が不要になった。追加資料はハイパーリンクを利用することとして朝礼が完全にペーパーレスになった。
これが気付きとなって「やる気」が芽生えた。運営委員会、職員会議、その他の会議でペーパーレスが実現した。そして、情報を提供、共有、検索、閲覧する際にChromebookの利用が必須の「使わなければ仕事にならない」状況ができた。
Chromebook導入を機に情報共有シートをGoogleスプレッドシートに移植した。画面で確認可能となり毎朝の印刷が不要になった。追加資料はハイパーリンクを利用することとして朝礼が完全にペーパーレスになった。
これが気付きとなって「やる気」が芽生えた。運営委員会、職員会議、その他の会議でペーパーレスが実現した。そして、情報を提供、共有、検索、閲覧する際にChromebookの利用が必須の「使わなければ仕事にならない」状況ができた。
3 Googleフォームの活用
データベース利用においてデータ収集と整理、蓄積は手間と時間が必要であるが、分散入力によるデータ収集と、ほぼ自動的に整理と蓄積が可能なこのアプリは活用できる場面が多い。
[健康観察]コロナ以後、生徒と教職員の毎朝の体温、体調のデータ収集に利用している。毎朝定時にメールでフォームのリンクを自動送信している。
[パスワード再発行]Chromebookを所有していない学年はクラウドへのアクセス頻度が低いためパスワードを忘れてしまうことが少なくない。個別対応は非効率なので、生徒から申し出を受けた教員が入力するフォームを用意した。入力されると自動的に担当者にメールが届くようにした。
[アンケート]授業評価や学校自己評価にマークシートを利用していたが、マークシート用紙作成と印刷、仕分け、配布、回答指導、回収後の読み取り等、手間のかかる処理や作業があった。これもフォーム利用で手間いらずになった。
フォームは手間なく集計、共有できるので、わかりやすくて使える場面が多く、「やる気」が刺激され、利用が増えた。「使うと便利さがわかる」状況である。
4 Googleサイトの活用
Chromebook利用の入口として、敷居の低い環境を目指してポータルサイトを作成、Chromebook起動時に必ず表示される設定にした。教員用にはアプリのショートカット、よく使う共有情報や校務に関連あるWebサイト、研修資料や役立つWebサイトのリンク、カレンダー等をコンテンツとした。また、生徒用には利用上のルール、アプリのショートカット、クラウドの使い方ブック、学校Webサイト等のリンクを設けている。
専門知識不要で簡単にWebサイトを作成できるこのアプリは教科指導や部活動、委員会活動等、多様な場面での活用が期待できる。
5 Googleカレンダーの活用
行事予定は係がとりまとめてエクセルで一覧表を作成、PDFをWebで公開したり、印刷したりしていた。1件の変更でも修正は複数箇所に及んだ。情報共有も時間のズレに注意が必要であった。
このアプリは分散入力が可能であり、修正は即時反映される。また、カレンダーの分類によって効率よく共有できるようになった。更に共有品や会議室、特別教室等のカレンダーで使用予約の調整も可能となった。
6 おわりに
ICTは実際に使ってみることで理解が進む場合が多い。働き方改革の観点からも、従来手法をICT利用に置き換える等して、利便性を高めて「やる気」を刺激したい。そして、教員の「スキル」の高まりと教育活動の充実を目指したい。
『教育時報』令和4年5月号「私の工夫」で紹介された実践です