【優良実践発表】国連の持続可能な開発目標(SDGs)の視点を取り入れた教育活動による、学びの質の向上

西粟倉村立西粟倉中学校

令和2年度の優良実践普及事業で優良実践校に選出された実践を紹介します。『教育時報』令和3年5月号に掲載されました。


1 はじめに

 本校は西粟倉村内唯一の中学校です。村内には幼稚園、小学校ともに1校ずつのため、人間関係が固定化され、自らの心情や考えを表現できずにストレスを抱える生徒がみられました。また、近年は村内でも教育へのニーズが多様化しています。こうした課題に対応する手段として、令和元年度に西粟倉村が内閣府SDGs未来都市に選定されたことを背景に、SDGsの視点を取り入れた学校経営と生徒会活動を実施しました。

2 取組の概要

 校長のリーダーシップの下、SDGsの視点を年間計画に取り入れるとともに、SDGsの視点を持って教育活動及び学校運営に臨む認識を全教職員で共有し、取組を進めました。

(1)SDGsの視点を取り入れた授業実践
 理科や道徳、総合的な学習の時間の授業において、授業内容と関連するSDGsの目標をについて生徒が考え、対話する時間を取り入れることで、主体的・対話的で深い学びにつながる機会を創出しました。

(2)SDGsの達成に貢献する生徒会活動
 生徒会本部において、学校生活の改善を通じてSDGsの達成に貢献することを目的として、「西粟倉中学校版SDGs2020」を策定しました。これを基に、各委員会において委員会活動とSDGsとを関連付け、SDGsの達成に貢献する意識を全校生徒で共有しました。さらに、校内のSDGsの取組のイメージキャラクターの募集・策定など、幅広い広報活動を主体的に実施しました。

委員会ごとにSDGs の達成に貢献する 目標について話し合う様子

(3)地域との連携
 SDGs未来都市に選定された村の地域性を活かし、地域企業の協力の下で実際の林業作業に携わる「森林体験学習」に全校生徒が参加するなど、生徒が勤労意欲や地域を支える仕事への感謝の意識、郷土愛を育みつつ、地域社会に貢献し、さらにSDGsを通して国際的な視野でとらえる機会を創出しました。

3 おわりに

 令和2年度1学期末に実施した生徒対象の学校生活アンケートにおいて、学校行事や生徒会活動及び委員会活動への積極性に関する項目で、前年度のものと比べて肯定的回答の割合が大きく伸びました。SDGsの視点を通して生徒の学校生活改善への参画意識が高まり、それを行動に移せた実感が得られていると考えられます。

地域と連携した「森林体験学習」

 今後も、SDGsの視点を取り入れた学校経営・教育活動を継続し、他者を尊重できる自立した生徒の育成に努めていきたいと思います。