【優良実践発表】小中学校が連携した学習習慣形成の取組

久米南町立久米南中学校区

令和元年度の優良実践普及事業で優良実践校に選出された実践を紹介します。『教育時報』令和2年5月号に掲載されました。


1 はじめに

 本中学校区は、岡山県のほぼ中央に位置し、1中学校(久米南中学校)と3小学校(弓削・誕生寺・神目小学校)によって構成されています。4校とも各学年1クラスの小規模校であり、学習環境は落ち着いていますが、家庭学習の時間が年々減少傾向にあることに危機感を抱いていました。そこで、平成30年度から、家庭学習習慣の改善と児童生徒の自律性の向上に向けて、4校で協力して研究を進めていくこととなりました。

2 取組の概要

 取組を始めるにあたり、4校の研究主任を柱とする学習習慣形成推進委員会を立ち上げました。委員会では取組の方向性を定めるために、4校の教員を対象にアンケート調査を実施し、児童生徒の状況や課題を明確にすることから始めました。その結果を受けて、「家庭との連携」「意欲を引き出す家庭学習の工夫」「自己マネジメント力の育成」を取組の三つのポイントとして定めました。

(1)家庭との連携
 ①「家庭学習のすすめ」の作成
 保護者を巻き込んだ取組とするために、家庭学習の意義等をまとめた「久米南町版家庭学習のすすめ」を作成しました。個人懇談会等を利用して配付し、意図を説明しながら直接協力を依頼しました。
 ②町PTA連合会との連携
 年度当初の会議で学校の取組への協力や連動した活動の実施を依頼しました。子どもの健やかな育ちに向けた研修会の実施等、保護者自身の学びの場も設けました。

町PTA連合会:「子どもたちの生活習慣を考えよう」

(2)意欲を引き出す家庭学習の工夫
 ①「ぐんぐんノート」の作成
 小中9年間の発達段階に応じ、3種類の久米南町統一自主学習ノートを作成しました。保護者へのメッセージや自主学習のアイディアを掲載したり、めあてや振り返り、学習時間等の欄を設けたりと児童生徒が自主的に学習に向かうことができるよう工夫しました。
 ②フィードバックの工夫
 ノート点検では、4校で共通理解を図り、児童生徒のやる気を高めるような励ましのコメントを記入するようにしています。さらに、ノートの好事例を定期的に各校で掲示して交流し、学習内容に対する意識を高めることができるようにしています。中学校では、全員提出を目指して生徒が点検・声掛けを行い、提出率も向上しました。

(3)自己マネジメント力の育成に向けた「スマホサミット」の開催
 中学校2年生と3小学校の5・6年生全員が参加する「久米南中学校区スマホサミット」を2年連続で開催しました。中学生が運営に当たり、現状報告や寸劇により問題を提起した後、小中合同のグループでメディアコントロールを中心とした生活習慣の在り方について考えました。保護者や地域住民の参加も得て、意識改革を狙う取組になっています。

スマホサミット:小中合同グループ討議の様子

3 今後に向けて

 「ぐんぐんノート」や「スマホサミット」の取組を通して、児童生徒の学習習慣改善への意識の高まりや生活の変化を感じることができるようになりました。
 今後も、児童生徒が生き生きと活躍できる場を設定することで自己有用感を育み、保護者の協力を得ながらこの取組をさらに推進し、自己マネジメント力の育成を図っていきたいと考えています。